日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
自己免疫疾患における悪性腫瘍の発症
菅井 進
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 19 巻 1 号 p. 1-14

詳細
抄録
全身性エリテマトーデス,慢性関節リウマチなどの全身性自己免疫疾患やSjögren症候群(SS)などの臓器特異的自己免疫疾患に悪性リンパ腫,特にB細胞性リンパ腫が多いことが注目されている. SSにおいてわれわれは種々の方法を組み合わせて検討したところ, 306例の患者の中に61例(20.0%)に単クローン性の非悪性リンパ増殖性病変(LPD)を認め,悪性リンパ腫13例,マクログロブリン血症2例を加えると76例(24.8%)にLPDがみられた.悪性化へ進展する要因として,リウマトイド因子遺伝子Vgなどの活性化やbcl-2プロト癌遺伝子の病変局所での活性化などが重要と考えられる.自己免疫疾患におけるLPDの好発は持続する病変局所での自己免疫反応によるリンパ球分裂がプロト癌遺伝子,癌抑制遺伝子などの種々の遺伝子の異常を引き起こし,これらが積み重なって多段階的に腫瘍化するものと考えられる.
著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
次の記事
feedback
Top