日本臨床免疫学会会誌
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シクロスポリンが奏効したと思われる多発性筋炎に伴う間質性肺炎の1例
曽我 隆義萩原 恵里白井 輝五十嵐 俊久石ヶ坪 良明大久保 隆男
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1996 年 19 巻 2 号 p. 157-162

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抄録

シクロスポリン(CyA)が奏効したと思われる多発性筋炎(PM)に伴う間質性肺炎(IP)の1例を経験した.症例は49歳,女性.発熱,筋力低下, IPによる呼吸困難を認めた.プレドニゾロン(PSL) 60mg/日投与を開始したが,筋原性酵素およびIPの改善が認められないためメチルプレドニゾロン(MPSL) 1,000mg/日(3日間)のパルス療法を施行,さらにシクロフォスファミド(CPA) 100mg/日を併用した.その結果一時,筋原性酵素, IPは軽快傾向を示したが, IPが再燃したため, MPSLパルス療法,アザチオプリン(AZA) 100mg/日の併用, PSLからベタメタゾンへの変更,計4回のCPA 500mgのパルス療法を施行した.しかしIPの改善が認められないため, CyAを開始したところ徐々にIPは軽快し,再燃は認められなくなった. PM,皮膚筋炎(DM)に合併したIPは,治療抵抗性のことが多く,本例のようにCyAが有効であったとする報告はいまだ少なく,今後PM/DMに合併したIPの治療に関して,その投与法を含めてこのような症例の蓄積が必要であると考えられた.

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