成人T細胞性白血病(adult T cell leukemia; ATL)患者17例より採取した末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells; PBMC)に対してレチノイン酸を添加後72時間までの細胞増殖能, interleukin-2 receptor (IL-2 R/P 55 α, Tac, CD 25)の発現を観察した.その結果,レチノイン酸添加後の[3H]-thymidineの取り込みの減少率により3つのグループ(過反応群,反応群,抵抗群)に分けた.また,レチノイン酸添加前後でCD 25の発現の変化は認められなかった.レチノイン酸反応群において,レチノイン酸添加後9時間よりDNAの断片化が観察され,アポトーシスの誘導が示唆された.しかし,健常人PBMCにレチノイン酸添加培養してもDNAの断片化は観察されなかったことより,レチノイン酸はATL細胞特異的に活性をもつことが示唆された.以上より,レチノイン酸はATLの治療に応用可能であると考えられた.