抄録
寛解までに2年を要した多剤抵抗性成人発症Still病(AOSD)を経験した,症例は23歳男性.持続する高熱,皮疹,多関節痛にてAOSDを発症,ステロイド剤にて一時寛解したが, 1年後胸水,心嚢水を伴って再発し当科に転院した. Prednisolone (PSL) 60mg/日, methotrexate (MTX) 15mg/週の経口投与に加え,ステロイドパルス療法, γグロブリン大量投与を施行したが,一時的な効果に止まった. 4週毎のcyclophosphamide (CPA)間歇大量点滴静注療法を開始し, 5カ月目より臨床症状と検査所見の軽度改善を見たが,さらに7カ月目よりgold sodium thomalate (GST) 10mg/週を併用したところ,著明な効果を認めた.後にCPAは中止したが,その後もGSTのみで寛解維持している.近年,ステロイド抵抗性AOSDにMTXの有効性が報告されているが, MTX抵抗性の症例に対してCPAおよび金製剤は試用に値すると思われる.