日本臨床免疫学会会誌
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著明な腸管浮腫と麻痺性イレウスを伴った全身性エリテマトーデスの1例
神内 謙至佐野 統柱本 照高橋 由布子小野寺 秀記小林 裕柳田 国雄加藤 治樹近藤 元治
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1998 年 21 巻 1 号 p. 48-56

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抄録
43歳,女性.昭和58年に発症のSLE.以後,少量ステロイドにより,外来治療中であった.平成7年9月より腹痛,下痢を認め,麻痺性イレウスの診断にて入院.超音波検査により,著明な腸管浮腫を認めた.保存的治療に加え,ステロイドパルス療法,ステロイド増量を行うも,症状は改善せず,血清クレアチニン値(s-CRE)は上昇した.SLE腎症の悪化,薬剤性腎障害が疑われたため, pravastatin (PS)等の薬剤投与を中止し,免疫抑制剤の変更,パルス療法,血漿交換療法を行った.その結果, s-CREは正常化し,同時にイレウスも改善した.腸管浮腫を伴う麻痺性イレウスの原因として,上腸間膜動脈末梢での血管病変が考えられた.高CRE血症の原因としては,PSによる横紋筋融解症が考えられるが,診断には至っていない.本例は, SLEに著明な腸管浮腫と麻痺性イレウスを併発し,パルス療法や血漿交換が有効であった興味深い症例である.
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