抄録
症例は56歳,男性.平成7年8月呼吸困難出現し,胸部レ線上異常陰影を指摘され,経気管支肺生検にて閉塞性細気管支炎・器質化肺炎(BOOP)と診断された.ステロイド剤投与にて改善をみたが,同剤の漸減中止後,肺病変の再燃とともに筋痛,筋力低下の出現を認め,精査加療目的に同年12月当科入院となった.筋症状に加え,筋原性酵素の上昇,筋生検所見,および抗Jo-1抗体陽性から多発性筋炎(PM)と診断, BOOP病変はPMの肺合併症と判断し,ステロイド剤の再投与を開始した.筋炎・肺病変の改善を認め,平成8年5月退院となった. PMにおける肺病変としては,抗Jo-1抗体陽性例に多い慢性肺線維症と,自己抗体陰性例にしばしば観察される急速進行型間質性肺炎のふたつがよく知られているが, BOOP合併例の報告例は稀であり,文献的考察を含め報告した.特にBOOP合併例では,肺病変先行例が多いこと,抗Jo-1抗体が約半数例において認められることなどの特徴が認められた.