日本臨床免疫学会会誌
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脊髄硬膜外血腫による横断性脊髄症を呈した全身性エリテマトーデス(SLE)の1例
佐藤 慎二平形 道人亀田 秀人浜 信昭吉田 正三森 経世秋月 正史池田 康夫
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1998 年 21 巻 4 号 p. 166-171

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抄録
47歳,女性の全身性エリテマトーデス(SLE)で,経過中に横断性脊髄症(TM)を呈し, MRIで脊髄硬膜外血腫と診断され,椎弓切除・血腫除去術で改善を認めた症例を経験した. SLEに対し,ステロイドおよび免疫抑制薬療法中,両下肢対麻痺,知覚脱失,排便・排尿障害が出現.神経学的所見では,両側Th 10以下の全知覚脱失・弛緩性麻痺を認め,脊椎MRIを施行したところ,第9~11胸椎の硬膜外に辺縁整の輝度不均一な腫瘤を認めた.第9~11胸椎椎弓切除術を施行し, 4.5cm×1.5cmの硬膜外血腫を認め,切除した.術後経過は順調で,知覚・筋力および膀胱・直腸障害は改善した. SLEに合併するTMの原因としては,脊髄炎による報告が多数を占めるが,本例は過去に極めて稀な硬膜外血腫がMRI検査で証明され,手術療法にて改善した貴重な症例と考えられた.
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