日本臨床免疫学会会誌
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経口投与によるEchinacea purpurea(北アメリカ産ハーブ)のAKR/Jマウス胸腺内リコンビナント白血病ウイルス依存性白血病自然発症抑制効果
林 征雄大槻 誠鈴木 郁功渡辺 隆司
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2001 年 24 巻 1 号 p. 10-20

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抄録

多種あるハーブの中で,代表的な北アメリカ産ハーブであるEchinacea purpureaの乾燥葉粉末をリン酸緩衝生食水に懸濁させた製剤をAKR/J雌マウス(4週齢)に週3回,8週間に亘って経口投与した(7.5mg/マウス/週).その結果,(1)非投与対照群の自然白血病(胸腺リンパ腫)発症による死に至るまでの平均生存期間は28.6週間であったのに対して,投与群においてはその著しい延長がみられ,平均生存期間は45.4週間であった.(2)経口投与開始後24週目(28週齢)における投与群の胸腺リンパ腫の腫大(平均重量:145mg)は,非投与対照群のリンパ腫(220mg)に比べて著しく抑制された.(3) 28週齢の非投与対照群の胸腺抽出液を3週齢AKR/J雌マウス胸腺内に直接注入したところ,全動物の死亡は接種後18週目であったのに対して,投与群由来胸腺抽出液接種による全動物の死亡は28週目に観察され,白血病による完全死亡期間の著しい遅延がみられた.(4)投与群の24週目における胸腺内在性リコンビナント白血病ウイルスの増殖(平均log 3.7FFU/107コ胸腺細胞)は,非投与群のそれ(log4.4FFU)に比べて著しく阻止された.(5)投与群における腹腔滲出液中のIFN-γ活性値は, E. purpurea製剤の投与濃度に依存した増加がみられた.以上の成績より,AKR/Jマウス胸腺内在性白血病ウイルスによる自然白血病発症に対するE. purpurea製剤の著しい抑制効果は,本製剤による免疫学的監視機構の活性化,特に非特異性免疫系の賦活化に起因するものであろうことが強く示唆された.

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