日本臨床免疫学会会誌
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24 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 佐々木 哲雄
    2001 年 24 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 林 征雄, 大槻 誠, 鈴木 郁功, 渡辺 隆司
    2001 年 24 巻 1 号 p. 10-20
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    多種あるハーブの中で,代表的な北アメリカ産ハーブであるEchinacea purpureaの乾燥葉粉末をリン酸緩衝生食水に懸濁させた製剤をAKR/J雌マウス(4週齢)に週3回,8週間に亘って経口投与した(7.5mg/マウス/週).その結果,(1)非投与対照群の自然白血病(胸腺リンパ腫)発症による死に至るまでの平均生存期間は28.6週間であったのに対して,投与群においてはその著しい延長がみられ,平均生存期間は45.4週間であった.(2)経口投与開始後24週目(28週齢)における投与群の胸腺リンパ腫の腫大(平均重量:145mg)は,非投与対照群のリンパ腫(220mg)に比べて著しく抑制された.(3) 28週齢の非投与対照群の胸腺抽出液を3週齢AKR/J雌マウス胸腺内に直接注入したところ,全動物の死亡は接種後18週目であったのに対して,投与群由来胸腺抽出液接種による全動物の死亡は28週目に観察され,白血病による完全死亡期間の著しい遅延がみられた.(4)投与群の24週目における胸腺内在性リコンビナント白血病ウイルスの増殖(平均log 3.7FFU/107コ胸腺細胞)は,非投与群のそれ(log4.4FFU)に比べて著しく阻止された.(5)投与群における腹腔滲出液中のIFN-γ活性値は, E. purpurea製剤の投与濃度に依存した増加がみられた.以上の成績より,AKR/Jマウス胸腺内在性白血病ウイルスによる自然白血病発症に対するE. purpurea製剤の著しい抑制効果は,本製剤による免疫学的監視機構の活性化,特に非特異性免疫系の賦活化に起因するものであろうことが強く示唆された.
  • 岩井 秀之, 小池 竜司, 萩山 裕之, 長坂 憲治, 古賀 道子, 野々村 美紀, 西尾 純子, 上阪 等, 窪田 哲朗, 宮坂 信之
    2001 年 24 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,男性. 3カ月間続く微熱,頭重感,体重減少にて近医を受診.鼻咽腔に腫瘤を認め,生検後に抗結核剤の投与を受けたが軽快しないため,当院に紹介された.検査成績では血清可溶性IL-2レセプターおよびリゾチームが高値を示し, Gaシンチで鼻咽腔と両側肺門部に有意の集積を認めた.さらに,髄液中の単核球増加と, MRI, T2強調像にて増強される下垂体茎部の病変も明らかとなった. TBLBおよび鼻咽腔腫瘤の再度の生検の結果, Langhans巨細胞を含む類上皮細胞性肉芽腫を認めたが,乾酪壊死巣は見つからず,中枢神経系への浸潤を伴うサルコイドーシスと診断.プレドニゾロンの投与によって病状は著明に改善した.膠原病・リウマチ学領域において,多彩な臨床症状を併発した上気道の腫瘤性病変の鑑別に示唆に富む症例と考えられた.
  • 辻 隆, 三角 緑, 井上 優子, 出口 治子, 大久保 忠信, 上田 敦久, 大野 滋, 萩原 恵里, 青木 昭子, 石ヶ坪 良明
    2001 年 24 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(症例1),ウエゲナー肉芽腫症(症例2),顕微鏡的多発性血管炎(症例3)の自己免疫疾患3症例において,ステロイドパルス療法後,サイクロホスファマイド投与中に,発熱(症例1),発熱・肝障害(症例2),発熱・肝障害・肺炎(症例3),およびサイトメガロウイルスアンチゲネミアの陽性化を認め,サイトメガロウイルス感染症と診断した.抗ウイルス療法開始後,発熱・肝障害・肺炎などは改善した.このようにサイトメガロウイルスアンチゲネミア法は同感染症の早期診断に非常に有用である.
  • 上原 立子, 鈴木 康夫, 浅沼 ゆう, 市川 陽一, 阿部 光文
    2001 年 24 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は72歳女性.1986年,頚~胸部の強皮症様皮膚所見,筋萎縮,血清CK値上昇のため他科にて筋生検施行し,多発性筋炎と診断された.ステロイド治療にて血清CK値は低下したが皮膚所見,筋萎縮はその後も進行し大胸筋,傍脊柱筋,大腿筋部に及んだ. 1997年,呼吸筋萎縮,胸郭運動制限による換気不全のためCO2ナルコーシスとなり入院中に呼吸停止した.皮膚から筋組織にかけての生検組織所見では著明な筋線維の萎縮,皮下脂肪組織の葉間結合織と筋膜の線維化肥厚,慢性炎症を認め,筋膜炎-脂肪織炎症候群(Fasciitis Panniculitis Syndrome: FPS)と診断された.シメチジン,メトトレキサートの追加併用により皮膚,筋症状, MRI画像所見の改善が得られ,人工呼吸器管理より離脱し退院となった. FPSは好酸球性筋膜炎を包括する病理組織学的概念でNaschitzらにより提唱された.本症例のごとく重篤な経過をたどる場合もあり,早期診断治療が重要であると考え報告する.
  • 高橋 徹, 吉本 満, 川人 由美子, 森 康喜, 斎藤 定三, 千賀 孝治, 金子 貞男, 今井 浩三
    2001 年 24 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    脾臓摘出後にともなう易感染性は良く知られている.今回我々は,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)にて脾臓摘出術を受けた5年後に発症した脳膿瘍の1症例を経験したので報告する.症例は65歳,女性.発熱,見当識障害,にて1999年8月に入院した.患者は1988年より2型糖尿病で通院していた. 1992年にITPと診断され, 1994年に脾臓摘出術を受けた. 1999年2月にはIgG, λ型の良性単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)が発見された.入院後高熱が持続したが,血液培養は陰性で,抗生剤の投与は無効であった.右不全麻痺と意識状態の悪化を認め,頭部CT検査を施行したところ,リング状に造影される低吸収域が左頭頂葉から後頭葉にかけて認められ,脳膿瘍と考えられた.手術的に20mlの膿が吸引された.脳膿瘍の原因となる1次感染巣は,詳しい検査にても発見されなかった.
  • 和田 靖之, 富川 盛光, 久保 政勝, 衛藤 義勝
    2001 年 24 巻 1 号 p. 48-56
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    特異な臨床経過で発症した13歳男児SLE症例を経験した.患児は黄色ブドウ球菌感染症による皮膚膿痂疹が長期間持続し,その後に髄膜脳炎様の症状を呈し入院.精査の結果間質性ループス腎炎,左室の疣贅などを合併したSLEと診断した.患児の検査所見では,ブドウ球菌の構造蛋白の一つでIgGのFc portionに結合するsac-1の刺激に対して,患児のリンパ球の幼若化反応は低値であった.さらに免疫抑制療法中に抗リン脂質抗体が陽性化し,ほぼ同時期にPseudomonas aeruginosaeによる皮下膿瘍が合併し,治療に難渋した.患児は, SLEの診断基準を満たす以前に長期間黄色ブドウ球菌感染症が持続し,治療中にもPseudomonas aeruginosaeなどの細菌感染症に対して易感染性を示した.本症例の経過は,小児期のSLEの複雑な免疫異常状態を推測する上で重要であると考え,報告した.
  • 二宮 一郎, 真弓 武仁, 石丸 敏之, 岡村 秀樹, 浴村 正治, 岡田 楷夫, 内田 寛, 谷村 晃, 木下 忠嗣
    2001 年 24 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 2001/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の寛解時に発症したChurg-Strauss症候群(CSS)の2例を経験した.(症例1)64歳,女性.平成9年6月より気管支喘息が出現し,治療により平成10年2月上旬喘息は寛解していた. 2月下旬より四肢のしびれ,痛み,紅斑が出現し,脱力も高度となり, 3月3日当院へ転院した.好酸球の増加と皮膚生検での好酸球浸潤および血管炎よりCSSと診断.プレドニゾロン(PSL)60mg/日で症状は改善するもしびれ,両腓骨神経麻痺,左握力低下が残った.(症例2)62歳,女性.平成7年より気管支喘息が出現し軽快していた.平成10年3月から下肢のしびれ,痛みが出現し,増悪したため5月入院.好酸球増加や皮膚生検の好酸球浸潤などよりCSSと診断. PSL 60mg/日で疼痛は改善したがしびれが残った.気管支喘息寛解時にCSSが発症することはその診断に関して重要と思われた.
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