日本臨床免疫学会会誌
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鼻咽腔腫瘤と神経病変を主徴としたサルコイドーシスの1症例
岩井 秀之小池 竜司萩山 裕之長坂 憲治古賀 道子野々村 美紀西尾 純子上阪 等窪田 哲朗宮坂 信之
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2001 年 24 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

症例は27歳,男性. 3カ月間続く微熱,頭重感,体重減少にて近医を受診.鼻咽腔に腫瘤を認め,生検後に抗結核剤の投与を受けたが軽快しないため,当院に紹介された.検査成績では血清可溶性IL-2レセプターおよびリゾチームが高値を示し, Gaシンチで鼻咽腔と両側肺門部に有意の集積を認めた.さらに,髄液中の単核球増加と, MRI, T2強調像にて増強される下垂体茎部の病変も明らかとなった. TBLBおよび鼻咽腔腫瘤の再度の生検の結果, Langhans巨細胞を含む類上皮細胞性肉芽腫を認めたが,乾酪壊死巣は見つからず,中枢神経系への浸潤を伴うサルコイドーシスと診断.プレドニゾロンの投与によって病状は著明に改善した.膠原病・リウマチ学領域において,多彩な臨床症状を併発した上気道の腫瘤性病変の鑑別に示唆に富む症例と考えられた.

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