日本臨床免疫学会会誌
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長期にわたる黄色ブドウ球菌感染症の後に症状が顕在化したSLEの1男児例
和田 靖之富川 盛光久保 政勝衛藤 義勝
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2001 年 24 巻 1 号 p. 48-56

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抄録

特異な臨床経過で発症した13歳男児SLE症例を経験した.患児は黄色ブドウ球菌感染症による皮膚膿痂疹が長期間持続し,その後に髄膜脳炎様の症状を呈し入院.精査の結果間質性ループス腎炎,左室の疣贅などを合併したSLEと診断した.患児の検査所見では,ブドウ球菌の構造蛋白の一つでIgGのFc portionに結合するsac-1の刺激に対して,患児のリンパ球の幼若化反応は低値であった.さらに免疫抑制療法中に抗リン脂質抗体が陽性化し,ほぼ同時期にPseudomonas aeruginosaeによる皮下膿瘍が合併し,治療に難渋した.患児は, SLEの診断基準を満たす以前に長期間黄色ブドウ球菌感染症が持続し,治療中にもPseudomonas aeruginosaeなどの細菌感染症に対して易感染性を示した.本症例の経過は,小児期のSLEの複雑な免疫異常状態を推測する上で重要であると考え,報告した.

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