日本臨床免疫学会会誌
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混合性結合組織病の経過中に発症した自己免疫性肝炎
青木 茂久多田 芳史大田 明英小荒田 秀一牛山 理鈴木 憲明長澤 浩平
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2001 年 24 巻 2 号 p. 75-80

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抄録
症例は29歳女性. 19歳時に混合性結合組織病(MCTD)を発症し,ステロイド治療により寛解状態であった. 7年後より軽度の肝障害が出現していたが,妊娠とそれに続く子宮内胎児死亡の後に肝障害が増悪し当科に入院となった.抗核抗体と抗RNP抗体は陽性で,高γグロブリン血症を認めた. HBs抗原と抗HCV抗体は陰性であり,抗平滑筋抗体は陽性であった.肝生検では門脈域の単核球浸潤, piecemeal necrosis,および肝細胞壊死を認め,これらの所見より自己免疫性肝炎と診断した. PSLの増量で肝障害は改善した.両疾患の合併はこれまで5例の報告があるが,本症例ではMCTDが寛解中に自己免疫性肝炎が発症,増悪したこと,妊娠と胎児死亡を契機に抗平滑筋抗体の出現と肝炎の増悪が見られたことが興味深い.
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