抄録
サルコイドーシスと自己免疫疾患の合併はよく知られている.しかしながら,複数の自己免疫が合併することはまれである.今回我々はサルコイドーシスと思われる若年男性に1A型糖尿病と,特発性血小板減少性紫斑病を合併した症例を経験したので報告する.症例は21歳,男性.血小板減少,両側肺門部リンパ節腫脹(BHL)と高血糖のため当院に入院した.病理組織学的には証明できなかったが,ガリウムシンチではサルコイドーシスに特異的なLambdaサイン, Pandaサインを示し,サルコイドーシスと考えた.また抗GAD抗体陽性を示し, 1A型糖尿病と診断された.患者は肝脾腫やリンパ節腫脹を認めず,骨髄穿刺にてITPの診断が確認された.血小板減少が増悪したため,高用量のステロイドを開始したところ,血小板数の増加とBHLの縮小が認められた.