日本臨床免疫学会会誌
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筋症状に先行して著明な胸水を認めた皮膚筋炎の一例
岩井 秀之小池 竜司小川 純杉原 毅彦萩山 裕之長坂 憲治野々村 美紀西尾 純子南木 敏宏鍔田 利恵子上阪 等窪田 哲朗宮坂 信之
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2002 年 25 巻 3 号 p. 270-276

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抄録

36歳,男性,発熱,多関節痛,呼吸困難にて,近医に入院.顔面,手指,四肢伸側の紅斑,および著明な両側性の胸水が認められた.胸水は滲出性で,ヒアルロン酸が300,000ng/mlと著しい高値を示した.間質性肺炎の合併も認められ,ステロイドパルス療法に加えて,プレドニゾロン(PSL) 55mg/日による後療法を受けた.治療開始20日後に初めて近位筋優位の筋力低下と筋原性酵素の上昇がみられ,筋電図にて筋原性変化,筋生検にて筋線維の大小不同を認め,当科転院となった. Gottron徴候,爪囲紅斑を認め皮膚筋炎と診断したが,胸水貯留の原因は不明であった.しかし,その後, PSLの減量による胸水貯留,増量による軽快を繰り返し,種々の検索によっても胸膜炎をきたす他疾患の合併は認められなかったことより,稀ではあるが本例の胸膜炎は皮膚筋炎における微小血管炎的要素にもとづく病態である可能性が高いと考えられた.

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