抄録
百日咳患児(89名,男:女=40: 49)をスルホ化ヒト免疫グロブリン(S-GG, 100~120 mg/kg点滴静注)と抗生物質との併用群(37名,男:女=15: 22)と,抗生物質単独投与群(52名,男:女=25: 27)とに分けて,咳改善度とリンパ球減少率とを比較した結果,いずれの場合にもS-GG併用投与群の方が有意に優れていた.これらの結果は,免疫グロブリン製剤の一種であるS-GGと抗生物質との併用投与は百日咳の治療法として有効であり,また, S-GG併用投与群の方がリンパ球減少率が大きいことから,その作用機序の一つとして百日咳菌が産生する白血球あるいはリンパ球増多因子に対する中和能がS-GG中に存在することが示唆された.