M-蛋白の示すASO活性が真の抗体活性であるか否かを明確にすることとRantz-Randall (R・R)法と受身凝集反応法の解離の原因を明らかにすることを目的に検討し以下の結果ならびに結論を得た.
(1) R・R法における反応順序によってM-蛋白のASO活性は大きく変動し, M-蛋白の示す高ASO活性はSLOに対する直接作用の結果であると判断された.
(2) M-蛋白の示すASO活性はH, L各鎖に分断されることによってほとんど完全に消失し,再結合によって約50%の回復をみた.
(3) M-蛋白結合Sepharose columnによってSLOは特異的に吸収された.また, M-蛋白は還元型SLOに対して酸化型SLOの約10倍の反応性を示した.
(4) SLOの溶血活性は56°C, 30分の加温処理で完全に失なわれた.
(5) 低温下で調製したSLO結合赤血球の溶血阻止試験の結果から,症例1のM蛋白はSLOの溶血活性部位ないしはその近傍の抗原決定基に対する抗体であると判断きれた.
(6) 以上の検討結果から, M-蛋白の示す高ASO活性は真の抗体活性であり, R・R法と受身凝集法の解離の原因はR・R法に使用されるSLOと受身凝集法で担体に感作されているSLOでは一部抗原性に差異のあることに起因するものと思われた.
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