1981 年 4 巻 2 号 p. 90-97
正常ヒトプール血漿から作製した免疫グロブリン製剤(ガンマ・グロブリン(GG),スルホ化ガンマ・グロブリン(S-GG), pepsin処理ガンマ・グロブリン(P-GG))が,百日咳菌の培養上清から作製した粗LPFに存在する白血球増多因子(LPF)活用とヒスタミン増感因子(HSF)活性とを中和することができるか否かをマウスを用いて検討した.その結果,いずれの製剤にも, LPF活性, HSF活性に対する中和能が認められた.さらに,粗LPF注射後, 8時間後にS-GGを投与してもLPF活性を中和することができ, 24時間後では軽度となった. HSF活性に対する中和能もほぼ同様の傾向であった.
counter-immunoelectrophoresisによって3種類の免疫グロブリン製剤と粗LPFとの間に沈降線が観察された.
以上の結果は,免疫グロブリン製剤中に, LPF, HSFに対する中和抗体が存在することを示唆する.