抄録
最近経験した5例のT cell malignancyについて,その腫瘍細胞の機能を調べ,表面マーカー,臨床所見との関連について検討を加えた.第1例(CLL)と第5例(malignant lymphoma)の腫瘍細胞はいずれもMLRを抑制したが, PWM刺激によるIg産生に対しては後者でのみ抑制的に働いた.表面マーカーはいずれの細胞も末梢T cell型で,後者はTr陽性であった.臨床的にはツ反応がいずれも陰性で, MLRを抑制した結果と符合した.血清中Ig量は第1例が正常,第5例が低下しており, in vitroのIg産生能に対する両者の機能と一致した.症例3 (CLL)は, Ig産生に補助的に働き,血清Ig量も高値であったが,表面マーカーの検索ではむしろTr保有の末梢T細胞型であった.他の2例(CLL, malignant lymphoma)はnonfunctioningであった.