抄録
急性期川崎病患者36例の血漿を用いて,各病日におけるIC値を測定した.また, ICで正常リンパ球を処置し, suppressar T cellを誘導することについて検討した.患者ICは,病初期より増加し, 10日前後で最高となり,その後は低下の傾向がみられた.正常リンパ球をICとともに24時間培養するとsuppressor cellが現われたが,これは患者ICによっても,正常児ICによっても出現し, ICによる免疫反応の異常は川崎病に特異的なものではないことが示された.おそらく,生体内で, ICが過剰に存在するような状態の時に,免疫反応にとって問題となるのであろう.つぎに,患者のICをIgG-ICとIgM-ICに分画し,正常T cellと培養したところ,両者ともsuppressor T cellを誘導した. IgG-ICは, Tγ cellに作用するものと考老えられ,またIgM-ICは,その抗原部分がTμ cellをTγ cellに変換する作用がある可能性が考えられた.