日本臨床免疫学会会誌
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Lymphoproliferative diseaseを合併した重症複合免疫不全症の1例
常田 ひろみ石川 順一南 秀樹崎山 幸雄富樫 武弘松本 脩三
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1983 年 6 巻 2 号 p. 123-131

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抄録
下痢,難治性のカンジダ感染があり,巨細胞性肺炎による呼吸不全で死亡したSCIDを報告した. T cellは減少し, T cell機能も欠如していたが,末梢B cellは増加し,大部分は複数の表面免疫グロブリンを保有していた.血中免疫グロブリンも増加し, IgG型M蛋白成分を認めたが,抗体活性は欠如していた.成熟B cellから形質細胞への分化の障害が示唆され,これはT cell機能異常によるか,またはB cell自身の欠陥によるものと推測された.本症例は入院時より左上腕に,剖検時肝にlymphoproliferative diseaseを合併し,左上腕部腫瘍は病的骨折をおこしたが後に完全に退縮した. TFや移殖した胎児胸腺がそのことに影響した可能性はあるが,臨床経過から腫瘍の性格が悪性とは考えられず,何らかの刺激に反応性に特定のクローンが過増殖したと推測された. HLAの一致したdonorが得られなかったため,胎児胸腺,胎児肝移殖を試みたが成功しなかった.
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