抄録
3例の進行した慢性関節リウマチ患者が, D-ペニシラミン投与中に致死的な造血器障害をきたしたのでその経過を報告する.症例1は, D-ペニシラミン600mg/日の投与を4年間受けたあと,急激な汎血球減少をきたした.症例2は, D-ペニシラミン400mg/日を1ヵ月続けた時,症例3は, 200mg/日を2週と300mg/日を3週続けた時点で,無顆粒球症をきたした. 3例とも進行した関節破壊病変を有し, D-ペニシラミンの投与以前に,ステロイド剤やその他の抗炎症剤を投与されていた.金製剤による治療は, 3症例とも造血器障害をきたす程の投与量とは考えられず, D-ペニシラミンによる造血器障害が最も疑わしいと考えられた. D-ペニシラミンの細胞障害によるものか,アレルギー機転が介在するのかは,三症例の死に致る経過が急激であったために解明できなかった.