抄録
呼吸器感染で死亡したataxia-telangiectasia 2例の臨床免疫学的異同を検討した.
第1例は7歳時細胞性,液性免疫能の低下を認め,幼少時より反復性呼吸器感染があり10歳で死亡した.剖検で,胸腺の低形成と全身リンパ組織のリンパ球減少が認められた.
第2例は10歳時免疫能は良好で易感染性もなかったが, 18歳からの呼吸器感染が難治性となり20歳で死亡した. 19歳の細胞性免疫能は著明な低下を示した.剖検胸腺は低形成よりむしろ退縮像に近く,動脈硬化も年齢に比して強く早発老化が疑われる所見であった.
Ataxia-telangiectasiaの病因として細胞の分化障害(未熟性),早発老化が論じられているが,この2例は免疫学的にもそれを支持するものとして興味深い.また,第2例からは,免疫不全も進行性であることが示唆され,感染死につながる免疫能の低下を的確にとらえ治療にあたるべきであると考える.