日本臨床免疫学会会誌
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6 巻, 4 号
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  • 金綱 隆弘, 北川 良裕, 近藤 元治
    1983 年6 巻4 号 p. 225-234
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 第1編2剖検例の臨床経過,免疫能,病理所見の比較検討
    松岡 道子, 鳥居 新平, 松岡 宏, 岡田 純一, 宇理須 厚雄, 佐藤 千寿子, 平林 紀男
    1983 年6 巻4 号 p. 235-248
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染で死亡したataxia-telangiectasia 2例の臨床免疫学的異同を検討した.
    第1例は7歳時細胞性,液性免疫能の低下を認め,幼少時より反復性呼吸器感染があり10歳で死亡した.剖検で,胸腺の低形成と全身リンパ組織のリンパ球減少が認められた.
    第2例は10歳時免疫能は良好で易感染性もなかったが, 18歳からの呼吸器感染が難治性となり20歳で死亡した. 19歳の細胞性免疫能は著明な低下を示した.剖検胸腺は低形成よりむしろ退縮像に近く,動脈硬化も年齢に比して強く早発老化が疑われる所見であった.
    Ataxia-telangiectasiaの病因として細胞の分化障害(未熟性),早発老化が論じられているが,この2例は免疫学的にもそれを支持するものとして興味深い.また,第2例からは,免疫不全も進行性であることが示唆され,感染死につながる免疫能の低下を的確にとらえ治療にあたるべきであると考える.
  • 第2編T cell malignancyを発症した1男児例
    松岡 道子, 松岡 宏, 岡田 純一, 宇理須 厚雄, 佐藤 千寿子, 鳥居 新平, 並川 玲子
    1983 年6 巻4 号 p. 249-258
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Ataxia-telangiectasiaの同胞例の弟に発症したT cell ALLについて細胞免疫学的検索を行った.家系内に悪性腫瘍が多発し,姉はATで10歳で死亡している.患児は1歳から経過をみており,軽度のT cell系機能不全であるが,易感染性はなかった.
    10歳,発熱とリンパ節腫大で発症した.腫瘍細胞は, Eレセプター陽性,表面グロブリン陰性であった.モノクロナル抗体による検索では, 9.6, Ia-like antigenが陽性, common ALL antigen, OKT 3, OKT 4, OKT 6, OKT 8陰性でT cell系由来,おそらくimmature thymocyte由来と考えられた.胸腺腫はなく,化学療法で30ヵ月後も生存中である.
    ATの病因として細胞の何らかの代謝の異常が考えられており,種々の症状発現の年齢は症例ごとに異なっているが,この例は幼小児期からT cell系の機能不全があり,そのT cellにmalignant transformationをきたしたもので興味深い.
  • 第3編 免疫異常の進行性について
    松岡 道子, 松岡 宏, 岡田 純一, 水野 周久, 宇理須 厚雄, 佐藤 千寿子, 柘植 郁哉, 鳥居 新平
    1983 年6 巻4 号 p. 259-273
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    典型的なAtaxia-telangiectasiaの自験6例について,臨床免疫学的に長期予後を検討した.
    (1) 6例の免疫能は症例ごとに異なっていたが,どの例も進行性に低下した.
    (2)進行の度合も症例ごとに異なるが,いずれも10歳代後半には細胞性免疫能の低下をきたした.
    (3)幼小児期の一時点の免疫能から生命予後は予測できず,経時的な観察が必要である.
    (4)感染死や悪性腫瘍化と関連深いのは,細胞性免疫能の低下であり,その低下の指標としてPHA, PWMによるリンパ球DNA合成能検査が有力である.
  • 高浪 巌, 中山 秀夫
    1983 年6 巻4 号 p. 274-278
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    新しいprimary sensitizerであるmethyl heptine carbonateならびにcostus root oilの感作免疫能とDNCBの感作免疫能とどのような関係にあるか検討した.肺癌を含む155例の胸部疾患患者において3つのprimary sensitizerについて同時に比較検討したところ, methyl heptine carbonateならびにcostus root oilの感作免疫能はDNCB級であることが判明した. methyl heptine carbonateとcostus root oilはDNCBの代わりに使用することが可能であり,その結果は信頼できる.
  • 西野 和良, 高根 恵子, 本間 智恵子, 森 泰二郎, 杉田 完爾, 中沢 真平
    1983 年6 巻4 号 p. 279-287
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    リンパ系細胞由来培養株化細胞23種を用いて, B cell分化軸にある細胞の分化段階を推測した.各細胞の細胞質内μ鎖および分泌μ鎖量を酵素抗体法(EIA)を用いて測定した結果, (1) Pre-B cell lines, (2)バーキットリンパ腫, B-ALL由来B cell lines, (3)正常人由来B cell linesの3群の間にはっきりとした差が認められた.各群は表面マーカーの出現パターンも異なり,形態学的にも区別される.これら3群は次第に成熟していくB cell分化軸上の各段階に相当することが機能的側面から推測された.従来“null cell line”と称されていたもののなかにpre-B cell lineが含まれていることが近年指摘されてきており,本研究でもKOPN-8, KOPN-K, NALM-1, NALM-6の4細胞株において4~30ng/108 cellsの細胞質内μ鎖が検出されpre-B cell linesであることが示された.さらにこの4細胞株の培養上清中に3~10ng/mlのμ鎖が検出された.
  • 冨田 誠人, 磯部 敬, 松本 純治, 伊東 俊夫, 藤田 拓男
    1983 年6 巻4 号 p. 288-294
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    血中アミロイド蛋白A (SAA)をliquid phase radioimmunoassayにて測定し,その臨床的検討を行った.
    対象はアミロイドーシス患者群76例(これらの内AL型26例, AA型19例),非アミロイドーシス群51例を検討した.また健康成人69名を正常コントロールとして比較検討した.
    アミロイドーシス群では48.7%,非アミロイドーシス群では35.3%にSAAの上昇をみたが,コントロール群では1.4%に軽度の上昇をみたのみであった. AL型では53,8%, AA型では84,2%とAA型にSAA高値を呈する症例が多く認められた.
    SAA値とCRPおよび血沈値との相関をみたところ, CRPとの相関が認められた.
  • 樋渡 恒憲, 宮地 清光, 前野 芳正, 岡村 和彦, 三村 孝, 百溪 尚子, 伊藤 国彦
    1983 年6 巻4 号 p. 295-302
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    甲状腺自己抗体の検出にはPHA法が広く用いられているが,本法には抗体の識別,特異性について不明の点が多い.今回はこれらの点を解明するための第1段階として,ヒト甲状腺細胞質上清(HTS)分画を用いた二重免疫拡散法によって甲状腺自己抗体の分析を試みた.その結果,沈降抗体の出現速度により3種に分類した.HTS-1抗体はHTS lmg/ml以下でも24時間以内に沈降線を示した.本抗体はヒト臓器特異性抗体で,吸収試験などの成績からThyroglobulin抗体と断定した.本抗体陽性血清は355例中14例(3.9%)で, PHA法によるThyroglobulin, Microsome抗体価はともに402倍以上であり,このうち13例は橋本病であった. HTS-1抗体は部分的交差を示すものがあり,その多様性が示唆された. HTS-2抗体は濃縮HTS抗原を用いて48時間後に出現し,低頻度であるが,橋本病, Graves病に同定された. HTS-3抗体は濃縮HTS抗原と反応1週間後に出現し, 355例中52例(14.6%)に認められた.本抗体はMicrosome抗体と一致するかいなか不明であるが,橋本病およびGraves病患者血清中に高頻度に認められた.
  • 依田 哲, 原 洋治, 塚田 昌滋, 小宮山 淳, 赤羽 太郎
    1983 年6 巻4 号 p. 303-309
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    125I-fibrin plateを用いて,ヒトの末梢血単球のplasminogen activator (PA)活性を測定した. Fibrinogenを約3×105cpm/ml, 10mg/mlに調整してfibrinogen plateを作製し,その後使用に先立って, 10% FBS添加Dulbecco's Modified Eagle's Mediumを加えてfibrin plateを作製した.末血より得た単核球は,単核球数2×106/ml,単球数4×105/mlに調整し,単球はfibrin plate付着細胞として用いた.正常健康人の単核球PA活性は, 24時間値11.5±3.2%, 48時間値31.0±6.4%であった.単球より分泌される他のproteaseによるfibrinolytic activityや,単球除去後のリンパ球PA活性が著しく低いこと,また単球数の増加に伴ってPA活性も増加していたことなどにより,この測定法におけるplasminogen存在下のfibrinolysisは,その大部分が単球によるPA活性であることを確認した. Concanavalin A (ConA)による単球の活性化により, PA活性は有意に増加した.疾患における単球PA活性をみると,小児急性リンパ性白血病患者では再発期に低下例が多くみられたが,再発期寛解期ともに対照との有意差は認められず,活動性結核患者では,有意に増加していた.
  • 竹内 良夫, 雑賀 寿和, 広瀬 智道, 八木 和郎, 吉河 達祐, 木村 義民, 清水 由規
    1983 年6 巻4 号 p. 310-319
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Fluorescein Na (Fl)注射液による副作用発症の機作を解析するためにFlの生物活性を検討した. Fl注射液とCFAのemulsionの免疫によって抗体が産生されたが,それはalbuminまたはglobulinと交叉反応性を示した.Fl静注30分後に採血したモルモット血清はgel chromatographyで2つの新しい分画が検出するとともに等電点電気泳動ではpH4~5付近に出現すべき2本のbandが消失していた.また,静注後30分をpeakとして補体価(CH 50)が有意に低下し,漸次回復した.好塩基球からのhistamineはFl 12μg~3 μgの添加により対照に比べ約5倍のreleaseが観察された.以上の生物活性がFl静注による副作用発症の一原因になる可能性のあることを示唆した.
  • 長岡 章平, 石ケ坪 良明, 谷 賢治, 坂本 洋, 松永 敬一郎, 加藤 清, 千場 純
    1983 年6 巻4 号 p. 320-324
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    初発症状出現時より比較的早期の4年11ヵ月の期間に, 5回帯状疱疹に罹患したSLE女性の1例を報告する. 1973年(18歳)多関節痛,レイノー現象にて発症. 1974年4月多量脱毛とともに左大腿部に帯状疱疹出現. 1976年1月SLEと診断し,ステロイド剤の投与開始. 1976年4月, 1977年2月, 1978年4月, 1978年11月に帯状疱疹に罹患.帯状疱疹の経過はすべて良好で合併症もなかった. PPD, DNCB皮内テスト, IgG Fcリセプター陽性T細胞などの細胞性免疫検査において異常を認めるも,帯状疱疹非併発時にも存在した. 2回目以後の帯状疱疹罹患時は,それ以前と比べていずれも血清補体価が低下しており,本症例における帯状疱疹発生の要因の1つと考えた.ステロイド剤については,初回罹患時は未使用,以後プレドニゾロン換算にて12.5~30mg/日であった.
  • 能勢 圭之助, 谷 賢治, 加藤 清, 松永 敬一郎, 高橋 宏, 坂本 洋, 長岡 昇平, 成田 雅弘, 石ケ坪 良明, 千場 純, 福島 ...
    1983 年6 巻4 号 p. 325-331
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    29歳女性の全身性エリテマトーデス例で,おもな臨床症状は, 6年間続いたレイノー現象とその急性増悪した病像の手指端の壊死,および3年の経過をもつ肺高血圧症,それに続いて惹起された慢性肺性心と呼吸不全であり,後者は直接の死亡原因となった.肺高血圧症は剖検による肺血管の病理組織像にてHeathとEdwardsの分類の第4度以上であった.病変の臓器特異性を説明する因子を明らかにする目的で,本症例において得られた諸種検査値と病変の関連性,あるいは諸種の治療に対する反応を観察したが,相関するものは認められず,この解析は今後に残された課題となった.
  • 石山 泰二郎, 杉本 正邦, 若林 芳久, 橋本 博史, 塩川 優一
    1983 年6 巻4 号 p. 332-337
    発行日: 1983/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1981年10月, 55歳の女性が頸部痛にて当院に入院となる. 25歳時,肺結核に罹患する. 1975年5月,手関節・肘関節・膝関節に疼痛と腫脹を訴える. 1976年1月1ヵ月高熱に悩む.
    1978年7月,両側頸部血管雑音を指摘され某大学病院に入院となる.下行大動脈と鎖骨下動脈の壁不整を大動脈造影にて指摘される.検査所見で,白血球数4,700/mm3,血沈190mm/hr, hemoglobin 6.9g/dl,血小板数62.9万/mm3, T. P 7.7g/dl, γ-globulin 39.1%であった.上記所見は,大動脈炎症候群に一致する所見であり,プレドニゾロン30mgにて治療された.
    1981年10月,入院時検査で軽度肥満・体温36.6°C・脈拍72/min整・血圧(右上肢154/78mmHg・左上肢164/94,右下肢164/94・左下肢130/62).両側頸部血管雑音聴取,血沈26mm/hr, Hb 10.6g/dl, WBC 6,200/mm, CRP1 (+), RA1 (+), RAHA (-), LE (-), HLA; A1・A24 DrW9,抗DNA抗体(-),手関節X-Pにて骨びらんを認める.頸椎X-Pにて,環軸関節亜脱臼を認める.
    以上所見より,慢性関節リウマチと大動脈炎症候群を合併した1症例と診断した.
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