日本臨床免疫学会会誌
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経過中,胃粘膜下形質細胞腫の発症をきたしたSjögren症候群(橋本病,原発性胆汗性肝硬変症を合併)の1症例
山田 隆宮坂 信之西戸 孝昭奥田 正治村田 英雄
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1984 年 7 巻 2 号 p. 118-124

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抄録

シェグレン症候群には,その多彩な免疫異常と関連して,リンパ系悪性腫瘍の発生が高率にみられることが知られているが,実際にその報告例は多くない.
今回われわれが経験した症例(53歳,女性)は1975年にレイノー現象と粘液水腫のため入院,生検により橋本病,慢性活動性肝炎を伴ったシェグレン症候群と診断され,甲状腺製剤とステロイド剤の投与が開始された.しかし,その半年後に閉塞型の肝機能障害の増悪,黄色腫の出現,高脂血症,抗ミトコンドリア抗体陽性など原発性胆汁性肝硬変症(PBC)が強く疑われる病態を呈し,アザチオプリンの併用により小康を得ていた.ところが, 1981年末,空腹時左季肋部痛を訴え,胃内視鏡検査にて粘膜下腫瘍が疑われ,生検により悪性リンパ腫と診断された.翌年4月胃切除術を施行,切除胃の病理組織診断は形質細胞腫であった.また同時に行った肝生検組織像ではPBCに合致する所見を得た.

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