日本臨床免疫学会会誌
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Fibronectinによるヒトのnatural killer (NK)細胞活性の抑制, 51Cr放出法および寒天内単一細胞法による検討
松本 美富士小川 勝己
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1984 年 7 巻 3 号 p. 154-160

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抄録
Fibronectin (FN)は血漿,組織中に存在する粘着性,オプソニン作用をもった糖蛋白である. FNは細胞間,細胞と基質との種々の反応に関与している. natural killer (NK)細胞は標的細胞である腫瘍細胞と反応して細胞障害性に作用することが知られている.したがって, NK細胞と標的細胞との反応に際してFNがいかなる影響を与えるか検討を行った.血漿FNは濃度依存性にNK細胞活性を抑制した.これは51Cr放出法および寒天内の単一細胞による測定法によって示された. FNによるNK細胞活性の抑制は標的細胞の要因によることがFN前処理による実験で示され, NK細胞と標的細胞の結合にはなんら影響を与えなかった.また, FN添加あるいは前処理時間とともにNK細胞活性の抑制がみられ, 4~8時間で最大の抑制を示した.以上のごとく, FNによるNK細胞活性の抑制はFNが標的細胞と反応し, NK細胞による細胞障害反応に対し抵抗性となることが示唆された.
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