日本臨床免疫学会会誌
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7 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • その診断,治療,成立機転
    坂田 茂樹, 中村 重徳, 三浦 清
    1984 年 7 巻 3 号 p. 125-135
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
  • 片桐 雅博, 岸本 真知子, 鳥居 新平
    1984 年 7 巻 3 号 p. 136-145
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Hyper IgE症候群の2例について免疫学的検討を加え,以下の結果を得た.
    (1) 細胞性免疫能や多核白血球のNBTテストは正常であった. 1例は臨床分離株黄色ブドウ状球菌の貪食殺菌能も正常であった.
    (2) 多核白血球の遊走能は血清総IgE値や抗ブ菌IgE抗体価とは無関係に低下したが,正常のこともあった.
    (3) 多核白血球のH2感受性は健康対照者に比べて低く,体内でのヒスタミン暴露によるtachyphylaxisが考えられた.
    (4) 抗ブ菌IgE抗体価は高値を示し,ブ菌感染によるブースター効果が考えられた.抗ブ菌凝集素価は正常であった.
    以上の結果から,多核白血球の遊走能の低下→黄色ブドウ状球菌感染→抗ブ菌IgE抗体と反応→ヒスタミンなどのchemical mediatorsの放出→H2感受性の低下した多核白血球もlysosomal enzyme放出持続→組織脆弱化→感染の持続という機序が推定された.
  • 内田 立身, 国分 啓二, 酒井 一吉, 五十嵐 忠行, 鈴木 照夫, 樋口 利行, 木村 秀夫, 松田 信, 刈米 重夫
    1984 年 7 巻 3 号 p. 146-153
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチの鉄代謝異常を,血清鉄,総鉄結合能,血清フェリチン,フェロキネティクス,網内系細胞内鉄代謝の面から検討した.対象42例中57.1%に貧血があり,そのうち63%が正色性, 24%が低色性, 13%が高色性であった.血清鉄は66%が低値をとり総鉄結合能は82%が正常または低値,血清フェリチン値は83%が正常または高値を示し,鉄欠乏性貧血のそれと異なっていた. 15例のフェロキネティクスでは, PID T〓の短縮, PIT, RITの低値があり,これらは血清鉄低値,骨髄赤芽球系細胞の低形成の所見に見合うものであつた.
    59Fe標識コンドロイチン硫酸鉄を用いた網内系細胞の鉄動態の検索では,投与4, 6時間目に網内系細胞より動員される鉄量が正常に比し少なく,網内系細胞よりの鉄の動員の障害,いわゆるRE iron blockがあることが示唆された.この動員の障害により,血清鉄低値をきたし,骨髄への鉄供給不足,これに伴う無効造血の存在が病態として観察された.他方,骨髄では,造血幹細胞レベル,赤芽球細胞レベルでの低形成があり,これがPIT, RITの低値と関係していると思われ,貧血の主たる成因であることが類推された.
  • 松本 美富士, 小川 勝己
    1984 年 7 巻 3 号 p. 154-160
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Fibronectin (FN)は血漿,組織中に存在する粘着性,オプソニン作用をもった糖蛋白である. FNは細胞間,細胞と基質との種々の反応に関与している. natural killer (NK)細胞は標的細胞である腫瘍細胞と反応して細胞障害性に作用することが知られている.したがって, NK細胞と標的細胞との反応に際してFNがいかなる影響を与えるか検討を行った.血漿FNは濃度依存性にNK細胞活性を抑制した.これは51Cr放出法および寒天内の単一細胞による測定法によって示された. FNによるNK細胞活性の抑制は標的細胞の要因によることがFN前処理による実験で示され, NK細胞と標的細胞の結合にはなんら影響を与えなかった.また, FN添加あるいは前処理時間とともにNK細胞活性の抑制がみられ, 4~8時間で最大の抑制を示した.以上のごとく, FNによるNK細胞活性の抑制はFNが標的細胞と反応し, NK細胞による細胞障害反応に対し抵抗性となることが示唆された.
  • 赤沢 修吾, 神田 裕三, 嶋田 定嘉, 中川 高志, 二ツ木 浩一, 本間 威, 吉田 清一
    1984 年 7 巻 3 号 p. 161-170
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    IFN-α2in vitroにおけるNK活性に及ぼす影響およびIFN-α2のphase I studyにおける細胞性免疫学的パラメーターおよび体液性免疫抑制因子の経時的変動を検討し,以下の結果を得た. 1) In vitroの実験で,正常者リンパ球と癌患者リンパ球のNK活性には有意差が認められなかった. 2) IFN-α2によるNK活性の増強効果は正常者リンパ球と比較して癌患者リンパ球で有意に劣っていた. 3) Phase I studyにおいてIFN-α2投与後患者リンパ球のPHA幼若化反応は全例低下したが, K細胞活性, NK活性は上昇例,下降例がみられた.しかし,それらはいずれもIFN-α2投与量とは相関がみられなかった. 4)同じく, IFN-α2投与後患者血清の正常者NK活性に対する影響は概して増強作用を示したが,正常者リンパ球PHA幼若化反応に対しては抑制的に作用し,それらはいずれもIFN-α2濃度とは相関がみられなかった.以上の事実より, IFN-α2投与後,生体中になんらかの免疫抑制因子が誘導されることが推察された.
  • 出口 雅子, 竹村 周平, 上田 正博, 宮川 晴雄, 吉田 憲正, 村上 正志, 古川 泰正, 加藤 治樹, 吉川 敏一, 杉野 成, 近 ...
    1984 年 7 巻 3 号 p. 171-174
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    健常人および各種疾患患者の赤血球膜C3bレセプター(CR1)をIAHA法を用いて検討した.健常人では,男性155中10例(6%),女性157例中11例(7%)に赤血球膜CR1欠損が認められた.各種疾患患者では,従来より欠損頻度が高いといわれているSLE患者で30例中22例(73%)と今回検討した疾患のなかでもっとも高頻度(p<0.005)に欠損が認められた.さらに,今回の検討で新しくAMLの患者においても11例中6例(55%)と有意(p<0.05)に赤血球膜CR1欠損頻度の高いことが判明した.
  • 谷崎 勝朗, 駒越 春樹, 周藤 真康, 貴谷 光, 中川 三郎, 木村 郁郎
    1984 年 7 巻 3 号 p. 175-181
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ハウスダストの皮膚反応が陽性を示す気管支喘息69例(女37例,男32例,年齢10~71歳,平均年齢36.9歳)を対象に,抗ヒトIgEおよび抗原(ハウスダスト)に対する末梢血好塩基球の反応性を,全血法によるヒスタミン遊離により検討した.今回の実験では,ヘパリン加静脈血4mlに至適濃度の抗ヒトIgEあるいは抗原0.2mlを添加し, 37°C, 15分間incubation後の好塩基球からのヒスタミン遊離を観察した.対象症例のハウスダストアレルギーの有無はRAST法により検討されたが,その内訳はRAST score 0+は16例, 1+は14例, 2+は18例, 3+は21例であった.
    1.抗ヒトIgEによる好塩基球からのヒスタミン遊離は, RAST score 0+から1+でかつ血清IgE値の低い症例では少ないものから多いものまで広範囲にわたっており,血清IgE値との関連はみられなかった. RAST score 2+の症例では血清IgEが高くなるにつれてヒスタミン遊離も多くなる傾向がみられたが,両者間に推計学的な相関は認められなかった.
    一方RAST score 3+の症例では血清IgE値の高低にかかわらず全般的に高度のヒスタミン遊離が観察された.
    2.ハウスダストによるヒスタミン遊離と血清IgEとの間には相関はみられなかった.
    3. RAST score 2+および3+の症例では,抗ヒトIgEによるヒスタミン遊離はハウスダストによるヒスタミン遊離とほぼ類似した値を示した.これらの症例では,抗ヒトIgEに対する反応性の低い好塩基球ではハウスダストに対する反応性も低く,一方抗ヒトIgEに対する反応性が高い好塩基球ではハウスダストに対する反応性も高いという一定の傾向が観察された.
  • 近藤 直実, 平野 通子, 元吉 史昭, 吉尾 博之, 折居 忠夫
    1984 年 7 巻 3 号 p. 182-188
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Asparagine-linked sugar chains of plasma membrane glycoproteins from healthy and primary immunodeficient patients' B lymphoblastoid cell lines (LCL) were investigated. LCL were, respectively, prepared from healthy individuals and two patients with common variable immunodeficiency, using Epstein-Barr virus. Each LCL had complement receptors, OKIal antigen and OKB antigen on the membrane. Crude membrane fractions were prepared by the hypotonic shock and the centrifugation. Analysis of the asparagine-linked sugar chains of plasma membrane glycoproteins was carried out by the chromatography and the sequential exogycosidase digestion. In results, the main oligosaccarides in asparagine-linked sugar chains of plasma membrane glycoproteins from healthy LCL were biantennary sugar chains with bisect N-acetyl-glucosamine (Gal2•GlcNAc2•Man3•GlcNAc•GlcNAc•Fuc•GIcNAcOT) and those from patients' LCL were the same sugar chains with above. There was no difference on the main sugar chains between two patients' LCL. On the other hand, the main oligosaccarides in asparagine-linked sugar chains of plasma membrane glycoproteins from T lymphoblastoid cell lines were biantennary sugar chains without bisect N-acetyl-glucosamine, according to our other report.
  • 廣瀬 恒, 原 まさ子, 関 修司, 宮川 浩, 安田 清美, 廣瀬 立夫, 法岡 健一, 木谷 敦, 川越 光博, 栗田 明, 中村 治雄
    1984 年 7 巻 3 号 p. 189-195
    発行日: 1984/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLEが漿膜炎により,多量の腹水を呈することはきわめてまれである.われわれは腹水を主症状として発症したSLEを経験したので報告する.腹水中の補体価(CH50)は10μg/ml以下と血清19.1μg/mlに比べ著明に低下し, FANAは血清320×に対して腹水は80×を示した.免疫複合体(Clq-IC)は血清2.0μg/mlに対して,腹水は6.1μg/mlと高値であった.このことは,局所で免疫複合体が形成され,組織障害性に作用したことを示唆していた. FANAが血清より腹水で低値を示したことは,免疫複合体形成に消費されたためと考えた.一方,モノクローナル抗体を用いたT細胞サブセットでは腹水中のOKT+ T cellが51.8%と著増していた. SLEによる漿膜炎の原因に,免疫複合体とともに細胞障害性T細胞がなんらかの役割を演じていることを示唆する所見であった.
    この腹水は,大量のprednisoloneにより完全に消失した.
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