ハウスダストの皮膚反応が陽性を示す気管支喘息69例(女37例,男32例,年齢10~71歳,平均年齢36.9歳)を対象に,抗ヒトIgEおよび抗原(ハウスダスト)に対する末梢血好塩基球の反応性を,全血法によるヒスタミン遊離により検討した.今回の実験では,ヘパリン加静脈血4m
lに至適濃度の抗ヒトIgEあるいは抗原0.2m
lを添加し, 37°C, 15分間incubation後の好塩基球からのヒスタミン遊離を観察した.対象症例のハウスダストアレルギーの有無はRAST法により検討されたが,その内訳はRAST score 0+は16例, 1+は14例, 2+は18例, 3+は21例であった.
1.抗ヒトIgEによる好塩基球からのヒスタミン遊離は, RAST score 0+から1+でかつ血清IgE値の低い症例では少ないものから多いものまで広範囲にわたっており,血清IgE値との関連はみられなかった. RAST score 2+の症例では血清IgEが高くなるにつれてヒスタミン遊離も多くなる傾向がみられたが,両者間に推計学的な相関は認められなかった.
一方RAST score 3+の症例では血清IgE値の高低にかかわらず全般的に高度のヒスタミン遊離が観察された.
2.ハウスダストによるヒスタミン遊離と血清IgEとの間には相関はみられなかった.
3. RAST score 2+および3+の症例では,抗ヒトIgEによるヒスタミン遊離はハウスダストによるヒスタミン遊離とほぼ類似した値を示した.これらの症例では,抗ヒトIgEに対する反応性の低い好塩基球ではハウスダストに対する反応性も低く,一方抗ヒトIgEに対する反応性が高い好塩基球ではハウスダストに対する反応性も高いという一定の傾向が観察された.
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