抄録
IFN-α2のin vitroにおけるNK活性に及ぼす影響およびIFN-α2のphase I studyにおける細胞性免疫学的パラメーターおよび体液性免疫抑制因子の経時的変動を検討し,以下の結果を得た. 1) In vitroの実験で,正常者リンパ球と癌患者リンパ球のNK活性には有意差が認められなかった. 2) IFN-α2によるNK活性の増強効果は正常者リンパ球と比較して癌患者リンパ球で有意に劣っていた. 3) Phase I studyにおいてIFN-α2投与後患者リンパ球のPHA幼若化反応は全例低下したが, K細胞活性, NK活性は上昇例,下降例がみられた.しかし,それらはいずれもIFN-α2投与量とは相関がみられなかった. 4)同じく, IFN-α2投与後患者血清の正常者NK活性に対する影響は概して増強作用を示したが,正常者リンパ球PHA幼若化反応に対しては抑制的に作用し,それらはいずれもIFN-α2濃度とは相関がみられなかった.以上の事実より, IFN-α2投与後,生体中になんらかの免疫抑制因子が誘導されることが推察された.