金療法により尿異常をきたした慢性関節リウマチ患者(RA) 7症例を臨床病理学的に検討した.尿異常としては, 7例中5例は血尿症例であり,金療法中止により尿異常は比較的速やかに減少ないし消失した.腎機能はクレアチニンクリアランス50ml/min以下の低下症例を4例に認め, 2例は金療法中止によっても改善を認めず,金療法が血尿出現後も継続された1例は腎不全に陥った.腎組織所見は,微小糸球体変化2例,巣状糸球体腎炎1例,びまん性増殖性腎炎2例,膜性腎症1例,硬化性腎炎1例と多様であったが,全例の近位尿細管にエネルギー分散型解析電顕で金の沈着を証明した.一度生体内に投与された金塩は長期間腎組織内に沈着して腎障害の原因となっていることが考えられ,金療法中は尿細管機能検査を中心とした腎機能の十分な観察が重要であ