日本臨床免疫学会会誌
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農夫肺の免疫組織学的検討
種市 幸二今野 孝彦芝木 秀俊本間 行彦
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1985 年 8 巻 3 号 p. 146-152

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抄録

農夫肺15例の免疫組織学的検索を行い以下の結果を得た. 1) 臨床症状としてアルサス型が多かった(9/13). 2) ほぼ全例に特異沈降抗体が検出された(14/15). 3) 免疫複合体が5例に高値であった(5/12). 4) 細胞性免疫が低下していた. 5) CH50は正常から高値を示すものが多かった(10/12). 6) 組織像としてほとんどが肉芽腫とリンパ球浸潤を示した. 7) 免疫組織学的検索で肺胞壁,毛細血管への免疫グロブリンの沈着が1例もみられなかった. 8) 組織像で肉芽腫像を示しているにもかかわらず,免疫組織学的検索では2例に血管壁に補体の沈着を認めたことは皿型アレルギーからIV型アレルギーへの移行像を示唆した. 9) HLA抗原の分析では有意差は認められなかった. 10) 農夫肺の発症機序はGell and Coombs分類の皿型およびIV型アレルギー反応がともに関与していることが示唆された.

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