日本臨床免疫学会会誌
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AIDSに関する基礎的検討:本邦におけるhomosexual男性の免疫異常
仲村 恒敬竹内 二士夫柏戸 敬道中野 啓一郎栗山 基朗荻田 忠厚宮本 昭正
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1986 年 9 巻 3 号 p. 217-223

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抄録
後天性免疫不全症候群(AIDS)に関する基礎的検討の1つとして,本邦におけるhomosexual男性群の免疫機能ならびに, AIDSの原因と考えられるHTLV-IIIの感染の有無について検討した.検討しえたなかには, AIDS発症例およびHTLV-III感染例は存在しなかったが, homosexualな男性群では,すでに免疫機能の低下がみられることが認められた.このことは,欧米の従来の報告と一致し, homosexualな生活様式によると考えられる免疫機能異常には人種差は存在しないものと考えられた.
AIDS発症の直接の原因はHTLV-IIIの感染であると考えられるが, AIDS症例の大多数を占めるのがhomosexual男性であるという疫学的事実は,彼らの生活様式によると考えられる免疫学的異常がその背景にあることによる可能性を示唆していると思われた.
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