日本臨床免疫学会会誌
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進行性の肝障害を呈したSLEの一剖検例
無量井 泰高井 修山陰 敬玉手 英一上遠野 武文関口 幸雄佐々木 毅吉永 馨鈴木 勃志大槻 昌夫森 和夫増田 高行大塚 庸一道又 勇一佐々木 爾
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1986 年 9 巻 6 号 p. 514-520

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抄録
全身性エリテマトーデス(SLE)における肝障害は軽微であり,治療上重要視されていない.われわれは一見subclinicalにみえたが進行性の肝障害を主徴として死亡したSLEの一剖検例を経験した.症例は12歳女性で,溶血性貧血,蛋白尿,抗ssDNA抗体陽性,持続性の凝固異常,低アルブミン血症,低補体血症が目立った. ICG 31.6%, HBs抗原,抗体陰性,腹腔鏡では慢性活動性肝炎像を呈した.ステロイド剤にアザチオプリンを併用したが,免疫学的に活動性であったためパルス療法を施行した.しかしDICおよび急激な肝機能の悪化を生じ死亡した.剖検では肝にPortal area,小葉内の単核細胞の中等度浸潤, massive necrosisを伴う肝硬変の初期像を認めた.臨床上,肝障害は多彩な免疫学的異常と相関して進行しており,本例はSLEにおける肝障害の予後的指標としての可能性を示すものかも知れない.
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