日本臨床免疫学会会誌
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抗α2,抗A2m (1)抗体が検出され,インターロイキン2,インターフェロンγ産生の低下がみられたIgA単独欠損症の一例
若杉 なおみ佐藤 隆美小沢 直宏清水 勝鴨下 重彦
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1986 年 9 巻 6 号 p. 507-513

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抄録
IgA単独欠損症の7歳児に認められた抗IgA抗体のサブクラスおよびアロタイプ特異性について検索を行った.その結果,本症例はクラス特異的抗α抗体のほかにサブクラス特異的抗α2抗体およびアロタイプ特異的抗A2m (1)抗体を同時にもっていることが見出された.母のIgA typeがA 2m (1) (+), (2) (-)であること,また母乳投与も受けていることから母由来のIgAによって感作された可能性が高いと推測される.一方,患児の末梢単核球は, OKT4+/T8+比の低下などを示すほかに, IL-2およびIFN-γの産生欠如が認められた. IFN-γはIL-2を加えることにより正常に回復した. IL-2およびIFN-γはB-cell分化にとって重要な役割を担っており,これらの結果はIgA単独欠損症におけるB-cell分化にかかわるT-cellの機能異常を示唆するものとして興味深い.
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