日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌
Online ISSN : 2433-7854
Print ISSN : 2433-7846
症例
Zinc diethyldithiocarbamateに感作された患者に生じた, 化粧用スポンジパフによるアレルギー性接触皮膚炎の1例
~被験物質を湿らせてパッチテストをすることの有用性~
飯島 茂子小城 一見高山 典子佐々木 和実
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2018 年 1 巻 2 号 p. 116-123

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抄録

 52歳女性, 化粧用スポンジパフによるアレルギー性接触皮膚炎の1例を報告した。患者は化粧後の顔面の高度な腫脹・発赤を主訴に当院を初診した。当初, 化粧品による接触皮膚炎を疑ったが, スポンジパフを含め化粧品のパッチテストは陰性だった。しかし, スポンジパフを蒸留水で浸漬後行うと陽性となった。スポンジパフの成分分析によりzinc diethyldithiocarbamate (ZDEC) が検出され, そのパッチテストが陽性となったことから, 自験例は製造過程に使われる加硫促進剤であるZDECで感作されたと考えた。蒸留水で浸漬時のパッチテストは, アセトン+エタノールによる浸漬時と同程度の反応を示した。ZDECは水にきわめて溶けにくいが, スポンジパフを蒸留水で浸漬させるとZDECがごく微量溶出し, パッチテストが陽性となりやすいと推測した。

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© 2018 一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
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