2018 年 1 巻 2 号 p. 116-123
52歳女性, 化粧用スポンジパフによるアレルギー性接触皮膚炎の1例を報告した。患者は化粧後の顔面の高度な腫脹・発赤を主訴に当院を初診した。当初, 化粧品による接触皮膚炎を疑ったが, スポンジパフを含め化粧品のパッチテストは陰性だった。しかし, スポンジパフを蒸留水で浸漬後行うと陽性となった。スポンジパフの成分分析によりzinc diethyldithiocarbamate (ZDEC) が検出され, そのパッチテストが陽性となったことから, 自験例は製造過程に使われる加硫促進剤であるZDECで感作されたと考えた。蒸留水で浸漬時のパッチテストは, アセトン+エタノールによる浸漬時と同程度の反応を示した。ZDECは水にきわめて溶けにくいが, スポンジパフを蒸留水で浸漬させるとZDECがごく微量溶出し, パッチテストが陽性となりやすいと推測した。