日本慢性看護学会誌
Online ISSN : 2435-7782
Print ISSN : 1882-2061
研究報告
造血器がん患者の看護において看護師が抱く困難感と関連因子
永井 真帆森本 美智子
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2021 年 15 巻 1 号 p. 1_13-1_21

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抄録

【目的】造血器がん患者の看護において看護師が抱く困難感の実態と,困難感に関連する因子について明らかにする.
【方法】岡山県内で造血幹細胞移植を実施している5施設のうち,同意の得られた3施設の当該病棟で勤務する看護師82名を対象に,質問紙調査を実施した.困難感については,「造血器腫瘍患者の看護に携わる看護師のケアにおける困難感尺度」(以下,「困難感尺度」)を用いた.記述統計により困難感の実態を示した上で,相関分析,重回帰分析を行った.
【結果】有効回答率は68.3%であった.困難感尺度の6下位因子の中では,「長期にわたる患者・家族の心理的支援,意思決定支援」「終末期の療養場所の選択,実現への支援」の項目得点平均値が高かった.関連因子として,造血器がん看護経験年数に加えて,緩和ケアカンファレンスや造血幹細胞移植に関するカンファレンスへの参加経験などが示された.
【考察】造血器がん看護に携わる看護師は,特に心理的支援に関する困難感を抱いていた.研修・カンファレンスの充実化,日常業務の中で時間的余裕が持てるような環境を構築する必要性が示唆された.

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© 2021 日本慢性看護学会
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