2021 年 15 巻 1 号 p. 1_23-1_29
目的:潰瘍性大腸炎患者が就労を継続する過程で自らの生活をどのように調整しているのかを明らかにする.
方法:就労している20~59歳の潰瘍性大腸炎患者10名を対象に面接を行い,質的帰納的に分析した.
結果:対象者は,【腹部症状による生活への影響の自覚】から【経験に基づく症状を悪化させないための行動】,【切迫した便意を想定した準備】をしていた.また,【病気を職場に伝えるか否かの選択】とともに【周囲の人と協力し合える関係性の構築】も行っていた.対象者は【病気と就労との折り合いの模索】を経て,【病気を抱えた生活への価値の転換】に向き合う一方で,【将来への不安を抱えながらの就労継続の希望】をもちながら【病気と共存した自分らしい生活の維持】を希望していた.
考察:患者が充実した生活を維持するためには,就労の継続に向けて実施している生活調整を把握し,本人のセルフケアを維持・促進する看護支援の必要性が示唆された.