2021 年 15 巻 1 号 p. 1_31-1_39
目的:受診中断経験をもち合併症を有する2型糖尿病患者の受診再開後の療養生活を明らかにすることである.
方法:受診中断経験を有している2型糖尿病患者のうち,データ収集時に何らかの細小血管障害を有している外来通院中の者11名を対象とし,半構造化面接を行った.研究方法論は,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ法を採用した.
結果:参加者は,【病状進行とともに生活が脅かされ受診の必要に迫られ(る)】,【療養しなくてはいけないと自分を納得させ(る)】ながら,【やれる範囲で療養(する)】していた.また,【血糖値を気にかけながら生活する】ものの,【飲食を制限しなければならない思いとの戦いに敗れ(る)】,療養から逸脱しやすいサイクルとなっていた.一方,療養を共にできる人的資源や環境が整うと,療養に動機づけられて行動するサイクルに留まっており,これらが共存する不安定な状況で療養生活を営んでいた.
考察:参加者は望ましい療養行動から逸脱するリスクと隣り合わせの不安定な状況の中,自分なりの対処行動をとりながら療養や受診を継続しており,慎重な支援が求められる.