日本慢性看護学会誌
Online ISSN : 2435-7782
Print ISSN : 1882-2061
研究報告
看護の視点で捉える炎症性腸疾患活動性評価項目の検討
水野 光藤本 悠阪上 佳誉子山本 孝治布谷 麻耶片島 麻佑瀬戸 奈津子
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2022 年 16 巻 1 号 p. 1_21-1_33

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抄録

目的:炎症性腸疾患(IBD)は疾患活動性評価指標を用いた病状評価がされるが,既存の指標では看護援助につなげるための患者状態の把握に限界がある.そこで,本研究は看護の視点で捉える疾患活動性評価項目を検討することを目的とした.
方法:先行研究から疾患活動性に関わる記述を抽出したところ,967コードが得られた.NVivoを用いて質的帰納的に分析し,92項目を作成した.IBD看護に熟練した看護師に提示し,フォーカス・グループ・インタビューによる意見収集およびIBD看護専門家会議でコンセンサスを得たものを最終項目とした.
結果:【炎症】11項目,【自覚症状】9項目,【IBDの認識】6項目,【生活の質】34項目,【治療】25項目の計85項目に精練され,表面的妥当性と論理的妥当性が整えられた.
結論:本研究では,臨床所見と症状の乖離がみられるIBDの疾患特徴を評価項目に反映し,疾患に関連した患者のニーズを捉え,IBDの治療としての目標と患者個々の自分なりの目標に沿った援助につなげるための示唆が得られた.

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© 2022 日本慢性看護学会
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