抄録
目的:慢性腎臓病(以下,CKD)をもつ患者の重症感尺度の開発に向けて尺度項目を検討した.
方法:14項目の重症感尺度原案を作成し予備調査を行った後,11項目の重症感尺度に修正しCKD患者270名
に本調査を実施した.尺度は信頼性と妥当性を検討した.
結果:本調査は回収率77.7%,有効回答は178部であった.α係数は.847,再検査法による信頼性係数は.602
であった.主成分分析では2成分を抽出したが,第1 主成分の負荷量は.792 ~ .432 で第2主成分が重複していた.因子分析では2因子を抽出し,負荷量は第1因子7項目が.843 ~ .415,第2因子4 項目が.794 ~ .314であった.病い感尺度と重症感尺度との相関係数は.697(p< .001)であった.CKD重症度別の重症感尺度の比較ではステージG1とG5の間にのみ有意な差を認めた(p=.045).
結論:11項目の重症感尺度は主成分分析により重複した2成分が,因子分析では2因子が抽出され,重症感の重症認識表現項目と軽症認識表現項目に分かれた一次元構造の尺度と解釈できた.また,病い感尺度との相関関係から妥当性が支持された.信頼性は内的整合性が支持され,安定性は許容範囲であった.