インテリジェンス・マネジメント
Online ISSN : 2186-6341
Print ISSN : 2186-6252
ISSN-L : 2186-6252
論文
シナリオ分析の技法
北岡 元
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 1 巻 1 号 p. 13-22

詳細
抄録

情報分析の世界で最先端の技法,シナリオ分析は,突然現れたのではなく,インテリジェンスを生産するという人類の営みの中で試行錯誤を経て生み出されたものだ。古代中国の孫子は「彼を知りて,己を知れば,百戦してあやうからず」と言ったが,インテリジェンスの歴史で圧倒的に重視されてきたのは「彼(ライバル)を知る」の方である。しかし特に90年代以降ビジネスの世界では,違う業界からのライバルが突然現れる等「彼」が見えにくくなって,「己を知る(自社の脆弱性を分析する)」から始めるというアプローチがとられるようになってきた。さらに「未来予想」がたびたび失敗する中で,複数の未来に関するシナリオを作り,「未来に備える」というアプローチもとられるようになった。双方の流れが合流して現れたのが,シナリオ分析である。実践する上では,自社の弱点を充分に分析し,自社の利害に関わるシナリオのみ作る,不確実な未来に翻弄されることなく,確実なもの(既定要素)を出来るだけ数多く発見し重視する,シナリオを動かすドライビング・フォースを明らかにする,などがポイントとなる。

著者関連情報
© 2009 特定非営利活動法人 日本コンペティティブ・インテリジェンス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top