主催: 聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
(目的と方法) Monocytic fasciitisは、2002年Hullらによって提唱されたMacrophagic myofasciitisと異なる新しい疾患概念である(Arthritis Rheum. 46:2189, 2002)。病変は筋膜主体で、CD68陽性細胞の浸潤がみられる。しかし、その臨床的特徴はまだ明らかではない。今回、Monocytic fasciitisと診断できた3症例について、その臨床像を検討した。(結果) 平均年齢29.7才(22から40才)。男性1例、女性2例。基礎疾患は、SLE、分類不能型膠原病、原発性シェーグレン症候群疑い、各1例。症状として、高熱と筋肉痛が全例にみられた。MRIで確認できた罹患部位は、両大腿部(全例)、両上腕(1例)で、筋膜に沿って高信号がみられた。全例血清中のCK上昇はなく、アルドラーゼは高値を示した。自己抗体は、3例中抗RNP抗体 2例、抗Scl-70抗体 2例、抗SS-A抗体 3例、抗ds-DNA抗体 1例が陽性であった。血清中のサイトカインの検討では、TNFα(平均168.9 pg/ml)と可溶性TNFRSF1B(TNFR2) (平均23.2 ng/ml)の著明な上昇、可溶性TNFRSF1A(TNFR1) (平均3.7 ng/ml)の軽度上昇がみられた。生検組織の免疫染色で筋膜にCD68陽性細胞の浸潤が全例みられた。TNFRSF1Aの遺伝子検索では、1例にヘテロで突然変異がみられ、TRAPSと診断。治療は、全例ステロイド剤に反応したが、減量で再発する傾向がみられた。Tacrolimus(FK506)にてfasciitisが軽快した症例が1例あった。