日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 15-8
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一般演題
Monocytic fasciitisの臨床的検討
*井田 弘明荒牧 俊幸中村 英樹有馬 和彦黄 明国藤川 敬太岩永 希玉井 慎美蒲池 誠折口 智樹川上 純本村 政勝吉村 俊朗塚田 敏昭宮下 賜一郎右田 清志江口 勝美
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キーワード: Monocytic fasciitis, TRAPS, CD68, TNF, TNFRSF1A
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抄録

(目的と方法) Monocytic fasciitisは、2002年Hullらによって提唱されたMacrophagic myofasciitisと異なる新しい疾患概念である(Arthritis Rheum. 46:2189, 2002)。病変は筋膜主体で、CD68陽性細胞の浸潤がみられる。しかし、その臨床的特徴はまだ明らかではない。今回、Monocytic fasciitisと診断できた3症例について、その臨床像を検討した。(結果) 平均年齢29.7才(22から40才)。男性1例、女性2例。基礎疾患は、SLE、分類不能型膠原病、原発性シェーグレン症候群疑い、各1例。症状として、高熱と筋肉痛が全例にみられた。MRIで確認できた罹患部位は、両大腿部(全例)、両上腕(1例)で、筋膜に沿って高信号がみられた。全例血清中のCK上昇はなく、アルドラーゼは高値を示した。自己抗体は、3例中抗RNP抗体 2例、抗Scl-70抗体 2例、抗SS-A抗体 3例、抗ds-DNA抗体 1例が陽性であった。血清中のサイトカインの検討では、TNFα(平均168.9 pg/ml)と可溶性TNFRSF1B(TNFR2) (平均23.2 ng/ml)の著明な上昇、可溶性TNFRSF1A(TNFR1) (平均3.7 ng/ml)の軽度上昇がみられた。生検組織の免疫染色で筋膜にCD68陽性細胞の浸潤が全例みられた。TNFRSF1Aの遺伝子検索では、1例にヘテロで突然変異がみられ、TRAPSと診断。治療は、全例ステロイド剤に反応したが、減量で再発する傾向がみられた。Tacrolimus(FK506)にてfasciitisが軽快した症例が1例あった。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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