日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 15-15
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一般演題
シェーグレン症候群における転写因子E2AとId3のバランス異常
*中川 靖子片岡 浩保田 晋助深江 淳堀田 哲也渥美 達也井上 農夫男小池 隆夫
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抄録

【背景】シェーグレン症候群(以下SS)は、外分泌腺に対する自己免疫反応により腺組織が破壊され、乾燥症状を呈する疾患である。SSの末梢血ではB細胞の活性化および形質細胞への過剰分化が生じメモリーB細胞の減少が起こると考えられている。転写因子E2Aとその阻害蛋白であるId3はともにB細胞の分化及び機能に重要であるが、Id3欠損マウスにおいてSS様症状を呈することが報告され、ヒトのSSの病態にも関与が示唆される。そこでSS患者の末梢B細胞におけるE2AおよびId3mRNAの発現を検討した。【方法】SS患者10人(男性2人、女性8人;平均年齢61.0歳)の末梢血よりCD19 陽性B細胞を分離し、E2AおよびId3 mRNAの発現量をreal-time PCRを用いて半定量を行い、健常人および他の自己免疫疾患患者と比較した。【結果】SS群は健常群および他の自己免疫疾患群と比較し、E2A/Id3発現比は、健常群1.16±0.61に対して、RA群0.64±0.25(P=0.132)、SLE群0.88±0.19(P=0.340)、SS群2.50±1.08(P=0.009)とSS群で有意に高値を示した。【考察】SS患者においてId3によるE2Aの抑制効果が減弱し、相対的にE2Aの発現が亢進していることで、SSにおけるB細胞の活性化に関与している可能性があると考えられた。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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