日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 15-18
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一般演題
多発動脈瘤により腹腔内・筋肉内に出血をきたした結節性多発動脈炎の一例
*高山 真希菊地 弘敏有沼 良幸駒形 嘉紀広畑 俊成
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抄録

症例は47歳、男性。主訴は下腹部痛。現病歴は2005年8月初旬より耳鳴りとふらつきあり、近医にて感冒薬の処方を受けた。数日後、突然下腹部痛が出現し8月13日他院に入院。腹部CT検査、腹水穿刺にて血性腹水を認め8月29日当院へ転院。腹部血管造影にて上腸間膜動脈(SMA)、両側腎動脈、脾動脈に多発動脈瘤を認め、血清CRP8.79mg/dlと高値で結節性多発動脈炎(古典的PN)と診断。SMA動脈瘤に対しコイル塞栓術(IVR)を施行し、同日よりプレドニゾロン(PSL)40mg/日を開始。9月4日には左腎動脈瘤が破裂し再度IVR施行。その後もSMAからの出血が続き、回盲部を部分切除し人工肛門を造設。同部位の組織所見では中小径の動脈にフィブリノイド壊死と内弾性板の破壊を認めた。術後も出血はあったが輸血にて保存的な対応が可能となり、徐々にPSLを減量した。しかし、2006年2月上旬に右腋窩部と右大腿部に突然疼痛が出現し、同部位に巨大血腫を認めた。CRP3.53mg/dlと上昇し、四肢血管造影にて末梢血管にも多発動脈瘤を認めたためPSLの増量に加えメトトレキサート(MTX)7.5mg/週を併用。その後は炎症所見も陰性化し、動脈瘤の破裂もなくPSLを減量中である。古典的PNによる末梢血管動脈瘤破裂の報告は稀であるが、コンパートメント症候群を合併し手術を要した症例もあり注意すべき合併症と考えられる。また、本症のコントロールにおいてMTXの併用が有用であることが示唆された。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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