主催: 聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
65歳女性、関節リウマチ(stage IV, classIV)にて通院中の患者。発熱、咳、喀痰にて外来を受診し、気道感染症を考え、抗生剤を投与したが改善せず、精査加療目的にて入院となった。入院時、体温38C台、WBC 8800/ul、CRP 19.7mg/dlと炎症反応高値であったが、抗生剤は無効であった。両側側頭部痛があり、両側浅側頭動脈を索状に触れ圧痛も認めたため、側頭動脈炎を疑い、同部位の組織生検を行った。この結果、巨細胞を混じた全層性の肥厚と内腔の狭窄、内弾性板の断裂や中膜を中心としたリンパ球、形質細胞がびまん性に浸潤しており肉芽腫血管炎の所見であり、側頭動脈炎と診断した。本症例は進行した関節リウマチに重度の骨粗鬆症を合併しており、眼症状も出現していなかったため、治療は少量のプレドニゾロン10mg/日を投与した。これにより各症状は速やかに改善し、1週間後にはCRP 0.7mg/dlと 炎症反応も低下し、退院した。リウマチ性多発筋痛症の約20%に側頭動脈炎が合併すると言われているが、本症例では関節リウマチに合併したことが比較的希であり、また、少量のステロイドが有効であったため報告する。