日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 15-29
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一般演題
成人Henoch-Schönlein紫斑病でみられた血中抗カルジオリピンIgA抗体の上昇
*川上 民裕渡部 秀憲溝口 昌子相馬 良直
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抄録

Henoch-Schönlein紫斑病(HSP)別名アナフィラクトイド紫斑病は、下肢に多発するpalpable purpuraと呼ばれる紫斑で始まり、組織学的に真皮上層の壊死性血管炎をみ、この障害血管にIgA沈着が生じる。当教室で経験した成人HSP20例の血中CRP、IgA、抗カルジオリピン抗体(aCL Ab)IgG、aCL Ab IgM、aCL Ab IgA、β2グリコプロテイン_I_(β2GP_I_)依存性aCL AbをELISA法で測定し、臨床像との相関を検討した。20例は全て膠原病などの合併症がない。20例中15例(75%)にaCL Ab IgAが検出されたのに対し、aCL Ab IgG、aCL Ab IgM、β2GP_I_依存性aCL Abは検出されなかった。検出された15例のaCL Ab IgA値は、血中CRP値、IgA値とそれぞれ相関関係を形成した(rs=0.91, p=0.0007; rs=0.80, p=0.0026)。また、この15例中、関節痛を訴えた症例のaCL Ab IgA値は、訴えなかった症例の同値より有意に高かった(p=0.022)。同様に、蛋白尿を認めた症例の方がなかった症例に比べ、有意にaCL Ab IgA値が上昇していた(p=0.013)。成人HSP病初期におけるaCL Ab IgA値の上昇は、aCL Ab IgAがその発症機序に関与していることを推測させた。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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