日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 15-32
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一般演題
肺胞出血を起こしたMCTD-SLEオーバーラップ症候群の一例。
*和田 達彦鈴木 貴博佐藤 将之井上 明美伊藤 壮一越川 義章大曽根 康夫秋月 哲史
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キーワード: 肺胞出血, MCTD, SLE, 抗Sm抗体
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抄録

64歳女性。‘98年よりレイノー現象が出現、2000年5月より尿潜血を指摘されていたが蛋白尿はなかった。‘01年8月以降は当院内科を受診。両手指のソーセージ様腫脹、手指硬化、汎血球減少、抗U1-RNP抗体(115U/ml)を認めMCTDの診断基準を満たしていた。また汎血球減少、赤血球円柱、抗ds-DNA抗体低力価(35 IU/ml)陽性、抗核抗体(1280倍)より改訂SLE予備基準も満足していた。’05年1月より労作時呼吸困難が増強し、胸部のX線、CT検査で肺気腫と診断し在宅酸素療法を開始した。間質性肺炎・肺高血圧は認めなかった。'06年4月13日突然の胸部不快感と喀血を主訴に救急車で来院した。左肺野に呼吸音減弱と断続性ラ音を聴取し、胸部CTにて左下葉の肺胞出血と診断した。救急センターにて止血剤投与で経過観察していたが、呼吸状態が悪化したため挿管し、再度施行したCTで肺胞出血の増悪を認めICUへ入院した。ステロイドパルス療法を施行し、後療法はPSL 1mg/kgとし一時軽快傾向であったが、その後再び発熱し敗血症性ショックにて死亡した。入院時の血清学的所見では、抗Sm抗体が58.6 U/mlと初めて陽性となり、抗RNP抗体は447 U/ml、抗ds-DNA抗体は110 IU/mlと高値であった。MCTDを主体とする経過中に肺胞出血が出現し、SLE活動性指標である抗ds-DNA抗体の上昇、疾患標識抗体である抗Sm抗体の出現など、劇的な病態の変化に伴い血清学的プロファイルに変動がみられた貴重な症例であり報告する。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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