日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 15-33
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一般演題
高用量ARB、ACEI療法により透析離脱可能となった強皮症腎クリーゼの1例
*萩原 圭祐嶋 良仁岩谷 博次中庄谷 奈々穂新倉 加奈有光 潤介平野 亨山鳥 大材緒方 篤田中 敏郎吉崎 和幸川瀬 一郎
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キーワード: 強皮症, 腎クリーゼ, ARB, ACEI
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抄録

症例は54歳女性、2004年発症の強皮症の患者。プレドニゾロン5mg、D-ペニシラミンにて外来フォローされていたが皮膚硬化が増強し、シクロスポリンを導入するも改善せず、2005年9月13日入院。入院時、血圧96/62mmHg、BUN21、Cr0.7であったが、10月28日よりCr1.6、血圧150-170/90-100mmHgと上昇が見られ、強皮症腎クリーゼが疑われた。腎保護作用を期待し、テルミサルタン20mg、テモカプリル2mgより開始するも、血液データーおよび血圧は改善せず、ニカルジピン持続静注も併用した。11月18日にはBUN61、Cr7.4まで上昇し血液透析導入となった。週2回の透析導入後も腎機能回復を期待し、収縮期血圧130mmHg以下を目標とした厳格な降圧療法を続行した。最終的にはアムロジピン10mg、フロセミド40mg、テルミサルタン160mg(最大投与量80mg)、テモカプリル8mg(同4mg)投与を続け、血圧100-110/50-70mmHgにコントロールした。2006年1月23日(最終透析後10日)BUN55、Cr3.4と明らかな腎機能の改善を示し透析離脱となった。現在テルミサルタン40mg、テモカプリル4mgにてCr2大で推移している。(考察)強皮症腎クリーゼにより透析導入となっても、高用量ARB、ACEI療法により腎機能改善の可能性があることが示唆された。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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