日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 63
会議情報

一般演題
当科におけるリウマチ性多発筋痛症の臨床経過について
*名切  裕箕輪 健太郎仲野 総一郎鈴木 淳満尾 晶子安藤 誠一郎天野 浩文森本 真司戸叶 嘉明高崎 芳成
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

(目的)リウマチ性多発筋痛症(以下PMR)は、高齢者に多く、急激な近位筋痛やこわばりで発症する原因不明の症候群である。少量のステロイドに反応し、比較的予後良好とされているが、臨床経過を長期間追った報告は意外に少ない。今回、我々はPMR患者26例の臨床経過について検討した。 (対象と方法)当科に1997年から2006年までの10年間に入院して、PMRと診断を受け、現在でも外来通院して加療を受けているPMR患者26例を対象とし、発症時のデータおよび臨床症状や治療方法の経過を検討した。 (結果)対象としたPMR患者26例は、男性9例女性17例であり、発症年齢は平均67.7±10.4歳だった。全例とも近位筋痛症状を呈して発症したが、診断基準の一部である他症状として、朝のこわばり5例(19%)発熱14例(54%)体重減少は7例(27%)であった。血液データ上、発症時の血沈は91.1±27.2mm/h、CRP値は10.1±10.5mg/dlと高度炎症所見を呈した。治療開始PSL量は平均17.5±7.2mgだった。以後PSL中止できた症例は4例で、うち寛解して無治療のままなのが2例、再発したのが2例であった。また、何らかの症状再発でPSL増量された症例が13例(50%)もいた。 (結論)当科におけるPMR患者26例も、ステロイド治療が開始されると近位筋痛症状や炎症所見は直ぐに改善した。しかし以後経過を追っていくと、ステロイド治療減量を急速に進めていく一方再発した症例も少なくはなかった。高齢者で他の疾患が併発している症例も多く、ステロイド治療の注意深い減量が必要であると考えられた。

著者関連情報
© 2007 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top