日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: S4-5
会議情報

シンポジウム4 特異抗原をターゲットとしたImmunotherapy
免疫制御機構を利用したアレルゲン特異的Immunotherapy
*石井 保之
著者情報
キーワード: IgE, 免疫制御, NKT
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

現在、様々な花粉症や通年性アレルギー性鼻炎を対象とするアレルゲン特異的Immunotherapyもしくは減感作療法が、根本的な治療法として実施されている。しかしながら、長期間の通院治療を要することや作用機構が解明されていないことなどから、一般にお普及していないのが現状である。我々は免疫制御機構を利用したスギ花粉症治療ワクチンの研究を進めている。ワクチンの組成物として、まず生体内でアレルゲン特異的に免疫制御機構を誘導することを目的に、アレルゲンタンパク質と制御性細胞活性化分子を包含した免疫制御リポソームを考案した。モデル実験として、卵白アルブミン(OVA)とNKT細胞を活性化するCD1dリガンドを封入した免疫制御OVAリポソームをOVA免疫したマウスに投与した結果、追加免疫で惹起される二次的なIgE抗体産生が有意に抑制されることを確認した。これらのマウスは、数ヶ月後のOVA追加免疫においてもIgE抗体の上昇が認められなかったことから免疫制御OVAリポソームは長期間免疫寛容を誘導できることが示唆された。免疫制御OVAリポソームを投与されたマウスの脾臓細胞を解析した結果、樹状細胞やマクロファージ以外に、B細胞にも免疫制御OVAリポソームが取り込まれ、V14 NKT細胞との会合でIL-10を産生され、制御性細胞を誘導することが示唆された。現在、スギ花粉症ワクチンとして、アナフィラキシーの危険性がないように設計された組換えCryj 1-C。ryj 2融合蛋白質を封入した免疫制御リポソームを製造し、その薬効を確認している。本ワクチン投与によって、スギ花粉飛散前にアレルゲン特異的な免疫制御機能を高めておくことができれば、スギ花粉飛散期のIgE抗体産生が抑制され、免疫寛容の誘導が持続すれば、その後のアレルギー症状の軽減と長期的な治療効果が期待できる。

著者関連情報
© 2007 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top