主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
関節リウマチは免疫学的な異常を背景に起こる疾患である。主症状は関節炎、関節破壊で、これに由来する障害が患者を苦しめる。関節病態の主役は滑膜の増殖性変化であり、多量に産生される分解系酵素が関節軟骨を破壊する。病態を反映するマーカーとして種々のものが考えられているが、大きくは (1)診断マーカー:鑑別診断に有用、必ずしも病勢を反映する必要はない。リウマチ因子が代表。(2)病勢マーカー:病状の把握に有用、すべてが鑑別診断に使用できる訳ではない。CRP、血沈等が代表的、に分類可能である。本来ならば関節リウマチの病態を反映して、その両方に用いることが出来るマーカーが優れる。現在、その条件を比較的良好に満たす候補としてMMP-3が考えられる。MMP-3は関節リウマチでは増殖した滑膜細胞により産生され、それが血液中に流れ出した物と考えられる。関節内ではMMP-3は効率よく関節軟骨基質を破壊できる能力を持つので、血清中MMP-3に反映される病状は関節破壊が進行している最中と理解できる。講演では関節リウマチ関節軟骨破壊でのMMP-3の役割とそれを低下させる治療は関節保護の観点からは重要である。血清中MMP-3の低下が確実に行われれば、関節破壊は最小限に留まる可能性がある。近年の生物学的製剤による治療はそれを可能としつつある。