日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: W1-1
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ワークショップ1 臨床免疫学の将来を示唆するミッドウィンターセミナー
当科で経験したIgG4-related plasmacytic disease 40例の臨床的特徴の解析
*山本 元久苗代 康可山本 大輔五十嵐 央祥村上 佳世小原 美琴子鈴木 知佐子山本 博幸高橋 裕樹篠村 恭久小海 康夫今井 浩三正木 康史
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抄録

【目的】Mikulicz病(MD)や自己免疫性膵炎(AIP)は、腺組織中へのIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする疾患である。これらの疾患概念の認識が急速に普及し、報告数も増加している。そこで我々は、当科におけるIgG4-related plasmacytic disease40例の臨床的特徴を解析した。 【対象・方法】当科を受診し、高IgG4血症及び組織中にIgG4陽性形質細胞浸潤を確認し得た40例を対象とし、腺分泌機能、血清学的評価、合併症、治療内容、予後について検討した。 【結果】男性は11例、疾患の内訳は、MD 33例、Kuttner腫瘍3例、IgG4関連涙腺炎4例であった。唾液腺分泌能低下は27例、涙腺分泌能低下は24例にみられた。抗核抗体陽性は6例、抗SS-A抗体陽性は1例のみ、低補体血症を呈したのは12例であった。また5例にAIP、6例に間質性腎炎、後腹膜線維症の合併を認めた。臓器障害を有する症例はPSL40~50mg/日、涙腺・唾液腺腫脹のみの症例はPSL10~30mg/日から治療が開始され、速やかに腺腫脹及び分泌機能の改善が得られた。観察期間は最長16年であるが、3例で再燃を認めた。 【結論】IgG4-related plasmacytic diseaseを全身性疾患ととらえ、涙腺・唾液腺などの局所病変を契機に診断された場合も、臓器障害合併を念頭に積極的な全身検索を行う必要がある。また治療は腺分泌能の改善が期待されるため、積極的にステロイド治療を行うのが望ましいと考えられる。

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© 2007 日本臨床免疫学会
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